映画感想「Fate/stay night [Heaven's Feel] II.lost butterfly」★★★★★

 タイトル:「Fate/stay night [Heaven's Feel]」 II.lost butterfly

公開日:2019

監督:須藤友徳

主演:杉山紀彰(衛宮士郎)、下屋則子(間桐桜)

主な出演者:川澄綾子(セイバー)、植田佳奈(遠坂凛)、神谷浩史(間桐慎二)

120分

@鑑賞日:2020.08.09

@評価:★★★★★★★★★★・・・★★★★★

 

Fate/stay nightの3番目のルートHeaven's Feelの映画第二章。

前回、第一章でカチ上がったテンションを一切失望させることなくさらに越えていく傑作。

原作では掴みにくかった心理描写を巧みに映像に落とし込むことで、3つのルートの中で人気の低かった桜ルートの再評価の流れを作りつつあります。

桜研究専門家の第一人者である須藤友徳監督の手腕により桜の人気がストップ高

BDを見ながら感想を書きまくってるので乱雑で長いです。

 

 

1.五日目(00:00:00~)

桜と士郎の2人で迎える朝食。セイバーがいなくなったのだから、もう先輩は危険なことをしないですよね?と聞く桜に「俺がセイバーに付き合ってたんじゃなくてセイバーが俺に付き合ってくれていたんだ」と答える。

サーヴァントを失ってもまだ戦いに赴こうとする士郎に桜は目を見開いてしまう。

桜の士郎に傷ついてほしくない一心がよく見える。

士郎は通学途中の公園でイリヤに出会う。イリヤ、ストレートに可愛い。

イリヤと別れたあとは遠坂に出会い、遠坂邸へ。こいつめっちゃ寄り道するな・・・まあ士郎は部活してないけど一成の手伝いとかでやたら朝早く来てるからな。

 

桜の夢。電車の中で、父と母、姉が乗る電車に置いて行かれ、小さな桜だけが取り残され、蟲に包まれる夢。目覚めた桜が無反応なので、おそらく幾度となく見た夢なのでしょう。

 

学校からの帰り道、士郎と遠坂は衛宮邸で慎二の呼出しを受け学校へトンボ帰りをする羽目に。

士郎vsライダー

夕暮れの図書館で戦う(ボコられる)士郎。このバトルシーンもむちゃ好きなんだよな~。ライダーに殴られた衝撃を活かして慎二に殴りかかる士郎。士郎は腹部に強化魔術を仕込んだ本「社会と発達心理学(エリク・H・エリクソン)」(この本のチョイスに意図はあるのかな?)でダメージを軽減していたため、魔術の使えない慎二は士郎が魔術を使ったことに多大なショックを受ける。

 

そして窓をブチ破ってヒロイックに登場する遠坂、完全にヒーローのそれでテンション上がるなあ~~~~~~!!!!

桜を利用したことに怒り心頭な遠坂を前に逆上する慎二。「桜、桜、桜、桜・・・・!こんな奴、どォーでもいいだろぉ!!!」のセリフ、めちゃ好きなんですよね・・どォーでもの発音の仕方好き。偽臣の書が燃える時の情けない声も好き。

ライダーが慎二から解放されたことで桜がマスターである事実が露呈。遠坂が桜に語り掛けている時、慎二はいっぺんに蚊帳の外に。慎二の視点からは、遠坂、桜、士郎の3人がものすごく遠くに見えていたってことでしょう。息を荒げる慎二の必死さが悲しい。

慎二にとって憧れである遠坂に「借り物の令呪で操っていた貴方は初めからマスターなんかじゃなかった」と直接告げられ、士郎から憐みの目で見られたことで彼の心は決壊してしまう・・・。

慎二は魔術以外の才能は全て持っていたが、それゆえに魔術に執着していた。マスターという立場になれば魔術師でなくても魔術師同士の戦いに身を置ける、自分は特別な、凡人とは異なる立場になれるという考え方が間違っていることなど初めからわかっていた。ただ借り物であってもマスターになるしか自分を保てなかったということかなあ。

慎二が作った感覚を鋭敏にする霊薬で暴走する桜。慎二は魔術回路こそ死滅しているものの、とにかく努力家で、常人をはるかに超えるスペックを持ってるんですよね。

 

桜の暴走とライダーの石化の魔眼で遠坂の目の前に針が現れそうに。遠坂の困惑から絶望への表情の変化が素晴らしいね・・・。そして無意識下では常に遠坂を真っ先に攻撃する桜くん。

言峰の教会で桜の治療を終えた言峰との会話。桜と遠坂が姉妹である事実が明かされる。これ、魔術は一子相伝だから桜を養子に出した、ってなってるけどなんもかんも時臣が悪いよな。間桐なんかに養子に出さずに一般社会に戻してあげるとか、姉妹そろって遠坂の家で育てりゃ良かっただろと。まあそうすると桜は士郎の家に通うこともなくなるんですけどね!

 

大切な人から大事なものを貰ったのはこれで2度目です。の鍵。1度目は姉から貰ったリボン。2個目は先輩から貰った家の鍵。桜の人生において輝かしい思い出の部分はここしかないのが悲しいね。

桜を探す士郎が一瞬見る幻覚。探した後、桜をどうするのかの迷いがありますね。燃える街に立つ白髪の士郎。鉄心エンドの心を殺した士郎のように思えますよね。

イリヤの目的は切嗣と士郎を殺すことだったから。けどね、士郎が大切な人を守りたいって言うなら、私は士郎の味方だよ」イリヤの励ましを貰う士郎。イリヤはある意味切嗣の「大切な人であろうと正義のためなら切り捨てる」思想の被害者とも言える存在なのかもしれませんね。10を生かすために1を殺す、切嗣の呪いを継いだ正義の味方でなく、大切な人のために精一杯頑張る士郎なら、私は応援するよ、ということでしょうか。

 

"レイン"

雨の中で桜を見つけ、「帰ろう、桜。風邪、治りきってないだろ?」といつも通り声をかける士郎。風邪、の部分の発音が「かずェ」、に聞こえるのは多分ぼくだけ。

桜の独白。

桜にとって衛宮邸での生活がいかに幸せだったか、そして自分はこんな幸せを受けていていい人間じゃない、もうやめなくちゃ、離れなくちゃ、でもできなくて、周りはみんな怖いことだらけで・・・。

士郎との生活を離れるのは死のうとしてナイフを構えた時よりも怖かった。ってセリフから自殺をしようとしたことがあることも触れられていますね。

自分を肯定できない桜と、桜の分まで肯定してあげる士郎で支えあってくれ。

"月下の誓い"から士郎へと受け継がれた正義の味方でならねばならないという呪いはここで解け、士郎は桜だけの正義の味方になることを誓う。自分の望みを持たず、借り物の理想だけで動く人間のフリをしていたロボットだった士郎が、自分の願いを始めて見つけた決定的なシーン。

 

衛宮邸に帰ったあとの桜、唇とか表情とかがスゲー煽情的になってる。絵と声の力って凄い。桜、自分への肯定力が極端に低いから、まだこの段階では先輩を汚せないとラインを越えない。他の要因がなければ、桜はこういう自制が効くのだ。

 

2.六日目(00:41:40~)

いつも通りの朝を迎える桜と士郎。クソデカ卵焼きにも注目ですね。朝飯を一緒にするライダー可愛いよね。「作法が合わない」といったライダーにフォークとナイフを出す士郎もズレてるけど文句も言わずに食ってるライダーも可愛い。「そういうことじゃねえけどもういいや・・・」みたいな諦観がありそう。

桜、聖杯の泥を心臓に抱えた言峰に対し「私には勝てないもの」。表情がいいな~この見下したような、わかりきった当然の事実でしょ?みたいな顔。

士郎とライダーが出て行ったあと速攻でオナニーしまくってそのまま夕方まで時間が飛ぶ。桜の発情力凄い!

そのまま「そうだ!外に出さなければいいんだ!」と天啓を得る。セイバーを失えば安全だと思ったのにセイバー消しても外に出るんだから、外に出ないようにするのが一番いいよね、たしかにそうだね(そうか?)

 

バーサーカーvs黒セイバー

神バトルシーン。至上の戦い、神話の再現そういう類のもの。

ヘラクレスを見ていると泣きそうになってあかん・・・がんばれ・・・!がんばれ・・・!

何回見ても見入っちゃって書く手が止まってた。

どうでもいいけどここで臓硯の体一回崩れてから再構成してるけどこれただのパフォーマンスだよね。パフォーマンス爺。

昔は人気があるとはいえなかったヘラクレスがここまで人気キャラになったのもFGOの効果ありそう。俺はずっと推してたぞ、時代が追いついたようだな。

無限の魔力供給で最強の存在になった黒セイバーを相手にバーサーカーが果敢に戦いを挑む。

イリヤの呼びかけで何度でも蘇って戦うバーサーカーかっこよすぎるよお・・・命の火が燃えている・・・

圧倒的に不利な状況で勝てないとしか思えない状況でもその命を燃やし尽くして戦い続ける姿、世界一かっこいいぜ。真の英雄の姿だ・・・好きすぎる・・・泣くわ・・・毎回泣きそうになるわ・・・

バーサーカーが一番好き。バーサーカーが一番つよいんだ。

 

アーチャーvsハサン

弓と双剣と格闘を巧みに扱うアーチャーの戦闘シーンは画面映えするなあ。ハサンは戦闘力低いとはさんざん言われてるが、防戦は上手いな。

 

ハサンを退けたアーチャーをねぎらう遠坂の真横に影が出現。影、遠坂を狙いすぎ問題あるな。

影の魔力爆発をアーチャーがロー・アイアスで防ぐ。

昔から、「士郎は黒セイバーvsライダー戦でロー・アイアスを投影してたけどどこで見たんだ?アーチャーの腕から読み取ったのか?」と言われてたが、ここで一回アーチャーが見せておくことで第三章での決戦で自然に使うことができますね。いい改変だと思います。

アーチャーは腕を落とす前、遠坂の顔を優しく撫でる。アーチャーは摩耗しきっていたために召喚された直後は遠坂のことも忘れていたようですが、だんだんと遠坂の存在を思い出したんじゃないかなあと勝手に思ってる。

原作では言峰の教会に戻ってから腕の切断を行い、言峰に腕を接合して貰っていたはずですが、劇場版ではそのあたりはカットされていますね。

ライダーが「正気ですか そんなことをすれば貴方は・・」と聞き、

「考えるまでもない。何もしなければ消えるのは2人だが、こうすれば確実に1人は助かる」とアーチャーが答えていますね。この会話の感じから、アーチャーが1人で腕の接合をしたような印象。

 

アーチャーの腕を接合した士郎を迎えた桜。外に出るたびボロボロになって、どうあっても戦うことをやめない彼に驚いているのかな。ただでさえ傷心の桜に、遠坂が高跳びを眺めていた思い出を士郎に話す。

何もかもを持っている姉が、桜だけの大切な思い出を取っていってしまう。自分だけの思い出が自分だけのものでなくなったことで桜は焦りに焦って布団に特攻をかけ肉体関係という手段でアドバンテージを取りにくるんすね。

風呂に浸かりながら「案外、布を取れば、元通りだったりして。」いや布取んなっていわれてたろ士郎!!!「これはダメだっ・・・!」じゃねえんだよ話ちゃんと聞いとけ!!!!!

桜は性格の成熟していない子供っぽい部分もありながら、自分の体の魅力や使い方をわかってて振る舞う二つの面が織り交ざった性格のイメージがある。黒桜とか言われてるけど、これはあくまで二面性の一部が強調されてるだけで二重人格じゃないと思うんだよな。

士郎と桜のベッドシーンの直後に言峰が「祝福しよう」って出てくるの最悪すぎて笑っちゃう

 

3.七日目(01:16:20~)

士郎と桜の気まずい表情を見て「こいつら、ヤッたな・・・」みたいな顔のイリヤ

桜が遠坂を姉さんと呼ぶ優しい世界。長くは続かないが、長く続いてほしいよな。

「キシュア・ゼルレッチの置き土産に興味はないけど、魔法使いが残した宝箱は綺麗そうだから」のイリヤの言葉。遠坂の家にある、hollowで出てきた第二魔法を使った時空を越えてる例の箱のことなのかな。うろ覚えですけど。

 

間桐の家での魔術の修行、桜は「確かに、教えは厳しかったけど、厳しさでは先輩に敵わない」という桜。桜の受けた魔術の修行はあまりに厳しすぎて、バッドエンドで遠坂が受けた時はすぐ壊れちゃってたから相当のハードだと思うんですけど・・・

 

間桐邸で桜の部屋を荒らす慎二。慎二の持ってる薬は、魔力に反応して光る薬ですね。

原作では桜の人間としての機能がどんどん壊れていく過程が描かれていて見るに堪えないんですが、劇場版では料理の味がしないな。くらいになってますね。

個人的には、原作の「箸の持ち方を忘れて、それを悟られないようにしながらも懸命に箸を握りなおして、また箸を落として、それを何度も繰り返し、皆に気取られないようにしなくちゃと振る舞う。その姿に皆はとっくに気付いているのに、桜だけは気づいていない」の構図がめちゃくちゃ辛かった。

 

"くすくすと笑ってゴーゴー"

多くの視聴者の心を破壊したパート。明るい世界観が怖くて怖くて仕方がない。飴がグロテスク。ぬいぐるみの数が取り込んだサーヴァント、消えたサーヴァントの数と一致してるらしいです。

そして我らが英雄王が桜を討伐せんとやってきます。全てが自分のものであるギルガメッシュにとって、勝手に人を殺しては食ってる桜は目障りだったのでしょう。

原作では「貴様、よもやそこまで、ガ――――」とあまりにもあっけなく死んでいたギルガメッシュは(それも好きですが)、劇場版で「ああ・・・よもや、そこまで・・・」と感嘆したような死に方をしてますね。どっちもいいと思います。

ギルガメッシュという常人をはるかに超える質量をもつ魂を食べたことで消化不良を起こす桜。どちゃくそデカすぎてお腹壊しちゃった。

ギルガメッシュは自我が強度すぎて黒セイバーのように使役することも出来ないらしいので食べるしかなかったのだ。

 

4.八日目(01:29:42~)

桜の存在そのものが多くの人々の命を危険に晒しているという事実に士郎は気づきつつありますが、目を背けてしまう。事実を確信してしまうと、切嗣の願いを受け継いだ正義の味方であるならば、桜を殺すべきという結論に至ってしまうから。

桜も、自分が原因で士郎を苦しめていると悩んでいますが、ここで完全に蚊帳の外であったはずの藤ねえが正鵠を得てくる。

正義の味方であっても、えこひいきをして良いのだと。桜とイリヤの2人を救ってあげる藤ねえ、流石だ・・・

 

士郎の夢。士郎の中の正義の味方であろうとする自分が桜の首を落とす。かつての自分なら、正義の味方であるなら、桜を殺すべきだと告げる夢。士郎の横をアーチャーと切嗣が通り過ぎていくのは、なんなんでしょうかね・・・意図を掴みかねてる自分がある。

そして士郎を後押しする臓硯。桜を士郎に殺させたあと、自分がその身体を使うつもりだったのかなー。

 

5.九日目(01:39:35~)

イリヤと買い物に行く士郎。ローレライのシーンですが、曲は使われなかったのがちょい残念。

夕刻の士郎と桜の語らいで、春の櫻を見に行こう、と優しい約束。お互いに叶わないんじゃないかと思いながらも朗らかに夢を語る構図、いい・・・苦しいけど、いい・・・

 

凍らせた心で、温かな幻想をする。いつか冬が過ぎて、新しい春になったら、2人で、櫻を見に行こう――――

ノローグと共に包丁を手に桜の部屋に訪れる士郎。今までの自分を支えてきたものと、今の自分が本当に大事にしたいものとの葛藤。包丁を構え、持ち上げたまま、10分以上悩み、苦しんで、どうしても出来ず涙する。士郎が涙を流して泣くことってめちゃくちゃレア。

今までの正義の味方としての自分は壊れて、"レイン"での誓いがここで完全に形になった。

 

6.十日目(01:44:50~)

衛宮邸から1人離れて間桐の家に帰った桜。桜は今まで慎二の慰み者として使われていた過去がありますが、大切な人である士郎と触れ合ったことで、慎二に体を触れられることに強い嫌悪感を覚えます。そして、心の強い桜がついぞ願うことのなかった「こんな人、いなければいいのに」という暗い気持ちに反応して影が目覚める。

桜は心が頑丈でとにかく我慢強かったために、壊れないまま、闇を抱えたままここまで来てしまっていましたので、その抑圧してきた暗い感情が決壊してしまった・・・

桜の初めての自分の心から願った殺人のトリガーを引いたのが慎二なのは皮肉ですよね。

 

 

感情の赴くままに書き散らしました。

最終章、8/15公開です。

映画感想「Fate/stay night [Heaven's Feel] I. presage flower」★★★★★

 タイトル:「Fate/stay night [Heaven's Feel]」 I. presage flower

公開日:2017

監督:須藤友徳

主演:杉山紀彰(衛宮士郎)、下屋則子(間桐桜)

主な出演者:川澄綾子(セイバー)、植田佳奈(遠坂凛)、神谷浩史(間桐慎二)

120分

@鑑賞日:2020.08.08

@評価:★★★★★★★★★★・・・★★★★★(型月至上最高のアニメ化)

 劇場版Fate/stay nightの最終章公開に向けて映画を復習しましょう!

まずは第一章から。既に何度も見たのですが再履修ということで・・・

ゴリゴリにネタバレしていきます。

 

 

1.冒頭の過去編(00:00:00~)

Fateの定番、「あなたが私のマスターか」等は全部カット。原作のストーリー進行よりも、より分かりやすい構成に再構成されています。

最初は「一年半前 夏」から始まる。士郎がまだ弓道部に所属していたころ。士郎を見つめる慎二のカットが心なしか多め。

この時点から既にこの劇場版では慎二の心情にスポットがかなり当たっていることは間違いない。

弓道部に所属している士郎→バイトで腕をケガした士郎とそれを責める慎二→士郎をフォローするために家に通い始める桜

のキャラクター関係をサッと示せるいい構成だと思います。

士郎と藤ねえが諭しても桜は帰りません。桜は臓硯に士郎の監視を命じられたため、帰るわけにはいかなかったのでしょう。この時点では。

桜が衛宮家に通い出した後の士郎のモノローグが流れる中、セリフはありませんが士郎が弓道部を退部する描写があります。(夕暮れの中で慎二と会話しているところですね)

ケガも治った士郎の肩のヤケドを指して、冗談めかして「見苦しいね」などと言った慎二の言葉に対し、「そうだな、じゃあ部活を辞めよう」と答えてしまう士郎。慎二は当然そんなつもりはなかったのに・・・。

慎二が打ち込んでいて、大事にしているものであっても、士郎にとっては「体を鍛えられればそれでよかった」程度でしかない。置いていかれた慎二の表情と、家に帰ると迎えに来る桜とそれを迎える士郎の表情の明るさの対比がわかりやすい。

この時点から、「士郎と桜で過ごす衛宮家」と「一人になった慎二」の構図があるように見えますね。

 

桜が遠坂を想う時、桜は常に髪のリボンを触ります。原作ではなかった描写(だと思います)ですが、映像化するにあたり仕込んだ心情を表す仕草のひとつ。

 

土蔵で魔術の修業をする士郎。誰もいなかった一年半前の時と違い、扉の外から桜と藤ねえの声が聞こえるの、いいよね・・・。

 

2.聖杯戦争開始直前(00:12:40~)

士郎と桜の通学シーン。何気ない日常、感極まってしまうよね。桜にとっては至上の幸せ・・・。

学校で士郎、一成、慎二の会話。

原作やったときは、慎二に対して「なんて嫌なヤツなんだ」と思ったけど、慎二には慎二なりの事情があったことを数年後に理解したものでした。この映画から冒頭から慎二の描写をそこかしこに仕込んでいるので、「こいつにもいろいろあるんだよな」の気持ちを抱きやすい。

桜を遠坂が手伝っているシーン。士郎が遠坂を知っていることに表情を曇らせる桜。姉へのコンプレックスが凄い・・・。

 

「先輩はもう弓道部には戻らないんですか」

「そうだな・・・慎二が嫌がるんじゃないか」

「兄さん、きっと先輩が苦手なんです。けど、他の人よりずっと好きなんですよ。素直じゃない人だから、嫌いな人が好きなんです、兄さん」

なにげなくなされている会話ですが、桜は慎二のことしっかりわかってるな~と。

士郎が部活のことを言及すると慎二が機嫌悪くなるのは、弓道部に戻ってきてほしくないのではなく、慎二の一言だけであっさりと部活を辞めてしまったことが許せなかったんじゃないでしょうか・・・。

 

運命の夜の当日。部活もなく皆早く帰っている中で、イタズラを思いついた子供のように明るく振る舞い、「くだらない弓道部のくだらない後片付け」を士郎に頼む慎二。ですが、士郎の肩に手をかける際の表情は真摯そのもの。

そして士郎はいつものように快諾したのに対し、「あっそ。じゃあせいぜい、善人気取ってれば」と一気に不機嫌になる慎二。

思うに、慎二は士郎に断って欲しかったのでしょう。他の大勢と同じように頼まれごとを快諾するのではなく、「それはお前の仕事だ」とか(言葉はなんでもいいですが)言って欲しかったんじゃないでしょうか。

「くっだらない用事だけど、お前に頼んだら代わりにやってくれたりすんの?」という言い回しをすることで否定を期待したのかもしれません。頼み事を断らない士郎の、違う面を見たいという気持ち・・・こじらせてるな~

士郎は弓道場の掃除をしたのち、聖杯戦争に巻き込まれます。が、この映画ではランサーに刺されるところまででそれ以降はざっくりカット。オープニングと同時にダイジェストでセイバーを召喚。もうお前ら散々見たし別にいいだろ?という配慮、わかってる。

一方、桜は帰り道にギルガメッシュと出会い、原作通りなら「今のうちに死んでおけよ娘。馴染んでしまえば死ぬ事も出来なくなるぞ?」と声をかけられるシーン。

わざわざ忠告をしに来てあげるギルガメッシュの優しさが光る。

 

3.1日目 夜(00:30:00~)

言峰の教会へイリヤが訪問。そのままセイバーvsバーサーカー戦へ。サーヴァントの人を超越した戦いを前に自分の覚悟の甘さを知る士郎。そして自分を守るために誰かが戦うよりも自分が犠牲になることを選ぶのが彼らしさ。

バーサーカー戦からの帰り道でvsライダー戦もあります。この辺も原作とは異なる展開ですね。巻いた展開だけど違和感もありません。

この時、慎二は士郎がマスターであったことは嬉しくもあったんでしょうね。慎二は自分が特別であることに固執してますが、同時に士郎のことを認めてもいましたから、その士郎が自分と同じ土俵に上がってきたのは嬉しかったのでしょう。

ただ、士郎は間違いなくマスターですが、慎二はマスターではないので・・・"同じ土俵"というのは勘違いなんですよね・・・

セイバーに一蹴されるライダー。偽臣の書による低下したステータスではこうなるのも仕方ない。

そして臓硯が路地裏から現れ、「これで間桐は敗退じゃ」などと嘯く。なんて狸ジジイだ完全にウソじゃねえかこれ

士郎の「桜もこんなことをやらされているのか!?」に対し、「桜が魔術なんて知るもんか!」と答える慎二、結果的には桜が魔術師であることを士郎に隠しているのですが、おそらく彼はコンプレックスを刺激されたこと、「お前も桜、桜か!あんなやつ関係ない!」みたいな感覚で思わず否定したと見た。

誰も彼も慎二を見ていないことが何より気にくわないのでしょう。

 

4.二日目(00:52:30~)

慎二がマスターであったこと、桜を巻き込んでしまうかもしれないことを遠坂に相談する士郎。

「慎二には妹がいるんだ。桜って言うんだけど」

「・・・・・・・・・・・・その子が、どうしたの」

この、一拍あけることで遠坂が一旦出かかった言葉を飲み込んで別の言葉を発してる表現もいいですよね。

 

桜、「どうして私を家に泊めるんですか・・・?私が心配だからですか?」と聞くとき、心配だからだと当然わかっているんだろうが士郎の口からその言葉を聞きたくてあえて口にしたんだろうな。桜はそういうことする。

 

小次郎の体内からハサンが登場。小次郎はキャスターが小細工して召喚したアサシンであったから、臓硯は小次郎を触媒に使って本来のアサシンであるハサンを召喚した、みたいなことでしょうかね。

小次郎の異常に真っ先に気づいた葛木をハサンは瀕死に追い込む。さすがの葛木でも先手で首を斬りに来る暗殺者相手は厳しい。キャスターは小次郎のマスターであったため、小次郎から出てきたハサンにも契約関係(令呪が聞くとか?)があるみたいで、「私を解き放て、魔女」と命令。

ルールブレイカーで契約関係を切ったキャスターをハサンは一突き、念押しでもう一突きして殺害。息のある葛木も脳天にナイフ(ダーク)を刺して殺す。

キャスターの死骸は闇に吸い込まれていきます。

 

5.三日目(1:03:00~)

桜が士郎の家にいることを確認してから、士郎との共闘を持ち掛ける遠坂。遠坂はいいやつだ・・・

家に来た慎二、桜をビンタしたせいで士郎がブチ切れてるのにご機嫌がすこぶる良い。士郎が感情を露わにしてるの相手が自分である、ってのが気分いいんだろうな~

土蔵で修業してた士郎のもとに訪れる桜。2月に半袖の服を着てくるあたり、この時点から温度感覚変じゃないのか?勝負服が夏仕様のものしかなかったのかな・・・?

ストーブを挟んで過去を語らう。桜の大事な思い出、赤い夕焼けの中で走り高跳びを懸命に取り組む少年と、それを見ながら「失敗しちゃえ」と願った少女。

桜は気づいていなかったけど、高跳びを眺めていた少女は1人じゃなかったんですよね。高跳びを見ていた2人の少女はこの作品のヒロインになってたので、慎二も高跳びを見ていればな~あるいはがあったかもしれないのに・・・

私が悪い人になったら許せませんか、と聞く桜に対し、「ああ。桜が悪いことしたら怒る。誰よりも叱る」と答える士郎。許したうえで、一緒にいてくれるのだという優しい回答。

 

ランサーvsアサシン戦。この映画きっての素晴らしいバトルアクションが光る。ランサーの兄貴大好きなのでマジでムチャクチャにテンションがブチ上がる。

逃げるハサンと追うランサー。ランサーの陸上走りも話題になりましたが、個人的には投げたゲイボルクが自動で手元に返ってくるシーンも好き。ランサーの矢避けの加護により飛び道具が通じないランサーをハサンは柳洞寺の裏にある池まで誘います。

正確には影vsランサーvsハサンですが、影はハサンを狙わないので実質2対1。

影の支配下が強いこの地で清純な英霊であるランサーは影に絡めとられてしまいます。ルーンを使った守りもたやすく破壊されてしまう。影の相手をしているランサーのスキを突いたハサンの宝具展開。ザバーニーヤの演出もかっこいい。

ハサンはランサーの心臓を抜き取り食べること知恵を取り戻し、残ったランサーの死骸を影が捕食。

直後目覚める桜がお腹を押さえてるの、初めての食事だったからびっくりしたのかね。キャスターは臓硯が持ってっちゃったし多分そうだよね。

 

臓硯&キャスターvsセイバー&アーチャー

キャスターの死骸を蟲で操る臓硯に怒り心頭なセイバー。キャスターのルールブレイカーを見た士郎はその効果の危うさを感じ取って止める、のをアーチャーが担う。

キャスターの魔術が発動する前に、影がその場に登場。死骸であるはずのキャスターは本能的にその影を恐れたのか、魔術を放つも吸い取られる。

影を見た臓硯は「あり得ぬ・・・あり得ぬ・・・」と呟きながら消滅。

影はキャスターを飲み込んだあと、遠坂をピンポイントで攻撃。影くんはさあ・・・

アーチャーの「私怨を優先できる状況ではなくなったな」の呟き。士郎を殺すより凛を守ることに方向転換したんですかね。

 

6.四日目(01:31:10~)

衝撃のマーボー。ここ好き。

マーボーを見て前夜の影の瘧のイメージを思い出した士郎が吐きそうになる。このマーボー、なんかグロいよ、なあ泰山の店主。

 

セイバーと話す桜。「セイバーさん、私はあなたと先輩がなにをしているのか知りません」絶対知ってるわ~~~~~~~~~

でも、桜は士郎が戦いに赴くことは許せても、ケガをして帰ってくること、セイバーがいてケガをさせてしまうことが許せないんだろうな。桜は士郎を守りたがるからね・・・

 

柳洞寺に探索へ行く士郎とセイバー。

士郎を守ることが自分の使命。桜のためにも。と言うセイバー。士郎の日常に桜がいて、セイバーもそれを大事にしてるのが伝わる。

臓硯vs士郎 ハサンvsセイバー

ハサンは臓硯から距離を取るように戦っているので、士郎とセイバーを分断する作戦ですね。ハサンはランサーの心臓食ってからしっかりとした喋り方するようになってかっこいい。

柳洞寺に巣くう影によりセイバーは拘束され飲まれてしまう。士郎がもうちょい早く令呪でセイバーを呼んでいれば・・・!影に飲まれる前でも、拘束された時点で令呪による高速移動はできなさそうだなあ。

ライダーvsハサン

士郎の始末をハサンに任せた臓硯ですがライダーの登場により窮地を脱する。

セイバーと戦ったときより圧倒的に動きがいいライダーに違和感ある士郎。

ライダーさんの戦闘シーンはカメラアングルが舐めるように動く。カメラくんもよう見とる。

 

立体感のない影がヌッと現れてスッと消える。ホラー風の演出がいい味。

セイバーを失った士郎・・・失意の彼を、指がかじかむまで外でずっと待っていた桜。

士郎、自分の信念のために戦うことと、戦うたびに桜を心配させてしまうことでの悩みがあるような表情に見える。

「いったいさ、何をすれば、正義の味方になれるんだ―――」のモノローグで第一章エンディング。

エンディング曲『花の唄』の入りも最高。この曲、完全に桜の曲。

幸せな日常をくれたこと、自分を傷つけるものに怒ってくれたこと、あなたを傷つけるもの全てを許せない・・・完全に桜だ・・・。

 

劇場版Fate/stay night、第一章を見たときに得た確信は「これが終わるまで死ねない」でした。

12年前、初めてFate/stay nightをやったときの「これより素晴らしい物語との出会いは無い」という確信も揺るぐことなく時が過ぎたので、確信の気持ちを大事にしていきたい。

第三章、劇場公開、楽しみにしてます。

今週のジャンプ(2020/08/03)感想

合併号明けの今週ですが、「アオのハコ」という読み切りが載っています。青春要素全振り、ラブコメ漫画じゃなくてラブの漫画。ジャンプ読者の弱点・特攻を突いた漫画ですね。致死量を摂取しそうになる濃度で危なかった・・・。

絵もキレイですが内容もジャンプらしからぬストレートな青春漫画で面白かったです。連載には不向きそうだけど・・・ジャンプ以外ならいいと思う

巻頭は僕のヒーローアカデミア。早くも6周年。人気投票もやるらしい。

 

余談ですが応募者全員企画(アクタージュの前の頁に載ってる)のフィギュア、以前は呪術廻戦の伏黒の顔が完全に邪神像の類だったのが修正されてましたね。安心しました。

 

以下作品別ネタバレ感想

 

Dr.Stone

科学使いの意思が千空からクロムに受け継がれる描写いいな~クロムの覚悟決めた顔がかっこいい。

 

◯ワンピース

すまん、スナッチってなに?

 

◯マッシュル

主人公が出るとすぐバトルが終わっちゃうから、あんまり知らない味方キャラとぽっと出の敵キャラと戦ってる・・・ワンパンマンで見た構図だ・・・。

ぼくあんまり知らないけどマッシュル読んでてウケてる人たち、決してバトル漫画として楽しんでたわけじゃないと思うんだよな~ギャグっぽさがウケてたんじゃないの?知らねえけど~

あと回想の妹の顔がデカすぎてバランス悪い気がしてる

 

◯僕とロボコ

この作者、以前の読み切りの融合くんで悪印象強すぎるんよな~と思ってたけどロボコは正直ちゃんとギャグ漫画してる。今週のやつも結構面白かった。ガチゴリラくんの良いヤツムーブのギャップもだいぶ安定してきたからそろそろ次のネタ仕込んできそう

 

◯アオのハコ

ダイレクトに青春漫画~~~~~!!!

面白い、面白いが読み切りで十分だ 毎週だとこの波動に耐えられん

 

チェンソーマン

センターカラーがもう読者殺しに来てるよう・・・きっつ・・・

何もなかったデンジが家族(アキ、パワー)を得て幸せを知りつつあったのにここで失うのか・・・

アキの夢の中ではデンジは泣いてたが現実でも泣いてるんだろうか。アキのためにデンジは泣けるのだとしたら余計に悲しさが募る

 

◯アンデッドアンラック

タチアナ、ヒロアカのしがらきと同タイプの出生。能力暴走による家族の死だけどタチアナがしがらきのようにはならなかったのが組織のおかげだとしたら良かったねの気持ち。橋下での覆いが浮いてるししこいつどうやったらマフィアに捕まるんだ?ガスは吸っちゃうのかな

金髪幼女ですが当然のように全裸。アンタッチャブルなので当然ですね。

しかしこれを抑え込めるあの外装スゲーな

 

◯呪術廻戦

頂上決戦の装い(ラスボスvs敵方の最強格)でテンション上がる。漏瑚好きなのでこういう演出も好き。漏瑚の回想(背景真っ白の謎空間)(わかるってばよ空間)でダゴンが覚醒前の喋れない状態なので、死後の世界の彼らと繋がったとかそういうわけじゃなさそう・・・あくまで漏瑚の中での語り掛けかな。だとしたらそれに割って入る宿儺は何者なんだマジで

最後に出てきた裏梅ってやつは昔呪霊の集まりがあったときにチラッと出てきたような気もするね。伏黒はあれかな、伏黒が抱えてるらしい切り札が意図せず出ちゃったまま意識を失ってるとかかな。ふるべなんたら。

 

ぼくたちは勉強ができない

ifルートだいたい微妙だな・・・。なんか成幸の言動に違和感あるなあ。

 

◯タイムパラドクスゴーストライター

いや過労で死ぬなら漫画で勝てとか言うなよ!!!!!!!!!!!?????

これに尽きる回。過労で死ぬなら漫画で勝っても過労で死ぬだろ、どう考えても。

まあ連載順位負けてた佐々木が文句言っちゃうと負けたんだから予言通り死ぬよ、ってことになっちゃうんですけどね。でもこれで佐々木が電子レンジにキレてる構図はなんか逆ギレ感がある。

この漫画なにがしたいのかずっとわからんわ・・・すまんな・・・

映画感想「TIME/タイム」★★★★★

タイトル:「TIME/タイム」 原題「In Time」

公開日:2011

監督:アンドリュー・ニコル

主演:ジャスティン・ティンバーレイク(ウィル・サラス)

主な出演者:アマンダ・サイフリッド(シルヴィア・ワイス)、キリアン・マーフィー(タイムキーパー・レイモンド・レオン)

110分

@鑑賞日:2020.7.28

@評価:★★★★★

In Time (字幕版)

In Time (字幕版)

  • メディア: Prime Video
 

 

人類が遺伝子操作により25歳から歳を取ることのなくなった未来の世界、左腕に刻まれた時計には残り1年となった人生の残り時間が示されます。

貨幣の代わりに"時間"が通貨として使われており、スラムの貧乏人は生活のために余命を支払うため、1日より多い余命を持っていない人がほとんど。1日働いて僅かな対価(=余命)を得て、朝起きると残り1日を切った余命を少しでも伸ばすべく再び労働に勤しむその日暮らしの生活。反対に、富裕層の人々は数世紀分もの余命を抱えていながらもまだ自分の残り時間を増やし私腹を肥やそうと手を尽くす。

貧乏人は1日1日を生きるのにいっぱいいっぱいで、富裕層は使いきれないほどの財産を更に増やすことしか考えにない…というのは現実と一緒ですが、この映画の中の方がより残酷。

金がなくなる=即死なので、家賃の支払いも、増税や値上げが行われた時も全てが命がけなので一歩誤ればあっけなく人が死ぬ。死と隣り合わせの自転車操業を強いられる世界怖すぎる・・・。

主人公のウィルはひょんなことから1世紀分の余命を手に入れ、貧乏人の命を命とも思っていない富裕層たちに一矢報いて体制を変えるべく、彼らの住む地域ニューグリニッチシティへと向かいます。

ニューグリニッチシティで出会った富豪の娘・シルヴィアは退屈な日常に飽き飽きしており、スラム出身のウィルの存在は未知の刺激そのもの、惹かれないわけがなく・・・みたいな展開。

 

世界観の設定が絶妙で、これだけでもう「面白そう!」と引き込まれる映画。主人公のウィルは肝っ玉がクソデカくて妙に落ち着きがあり、初めてぶち当たるであろう障害をスパスパとくぐり抜けていくカッコよさがあります。ライバルにあたる、時間監視局(タイムキーパー)のレイモンド も良いキャラしてます。時間監視の仕事のベテランであり、何ものにも買収されず、揺るがず、何度も主人公の前に立ちはだかる強敵。25歳で成長が止まったようには見えない老け顔ですが。

ストーリーは王道ですが、細かい部分には大味。その大味さを楽しめるか、気になるかで評価が分かれそうなところ。

個人的にはメチャクチャ面白かったです。

 

余命を保存しておける機械が銀行の金庫の中にズラリと並んでるところ、なんか未来のテクノロジーなのに妙なアナログ感があって好き。そこは物理なのかよ。

映画感想「ハッピー・デス・デイ」★★★★☆

タイトル:「ハッピー・デス・デイ」

公開日:2019

監督:クリストファー・ランドン

主演:ジェシカ・ロース(ツリー)

主な出演者:カーター(イズラエル・ブルサード)

1時間30分

@鑑賞日:2020.7.26

@評価:★★★★☆

 

 

誕生日の夜に謎のマスク男に殺されたクソビッチが死に戻り(死んだらその日の朝に戻る)の能力を手にしたので、犯人を突き止めるべく死にまくる異例のループホラー映画。あんまりホラーではないかも。

 

とにかく性格の悪いクソ女だった主人公のツリーは周囲の恨みを買いまくっていた。誕生日のパーティ会場に向かう途中で謎マスクに殺されて、目が覚めると殺された当日の朝。受け入れがたい現実を目の当たりにしながらも自分が同じ一日を繰り返していることに気づくと、謎マスクの正体を探るため立ち上がる。ヤケクソ気味で。

自分が同じ一日をループしていることを相談しても当然のように病院を紹介されてしまうツリーですが、気にもしていなかったナード男にダメもとでループしてることを話すと思いのほか真摯に受け止めて攻略法を考えてくれます。

殺されても朝に戻されて同じ一日が始まることから、無力だったツリーは無限の時間を手にしたのです。身の回りの疑わしい人物を探り、犯人でないことを確かめると同時に真犯人に殺され、次のループでまた別の候補者を探り・・・というゴリ押しの攻略法で潰しこんでいく。おいナードお前の考えたこの案まじで最悪だからな!と悪態をつきつつ。あと当然死んだときの痛みはそのまま痛いのでだんだん頭もおかしくなっていきますが。

 

ホラー映画というよりは、ホラーテイストのあるサスペンス映画のような感じ。真犯人を探る材料は映画の中にちょくちょく出てきます。ああそういうことか!と得心してからも二転三転・・・まだこの悪夢は終わらないの!?と繰り返しの中で明日を迎えられないツリーの苦しみが非常に共感しやすい構造でした。

非常に面白かったです。ホラーが極度に苦手じゃないのであればオススメしたい映画。

今週のジャンプ(2020/07/20)感想

ハイキュー!!完結。令和イチ面白いスポーツ漫画として完成した感があります。

大会で優勝するとかそういったことより、ただただ「スポーツは楽しい」をつきつめて書いた稀有なスポーツ漫画ではないでしょうか。

ジャンプのスポーツ漫画枠がなくなってしまったので、そのうち補充されるでしょうが・・・ハイキューの次を任されるのは相当荷が重そう

ジャンプの歴代スポーツ漫画の中でもトップに躍り出る面白さでした。めでたい。

 

幽奈さんの作者ミウラタダヒロ先生が読み切り掲載してます。フットワークの軽さ凄い。エロだけじゃなくてバトルもイケる作者だと思うのでちょっとずつそっちも試していってほしい。

 

チェンソーマン、しんどすぎる

 

 

以下作品別ネタバレ感想

 

◯ワンピース

なんでカイドウさんはヤマトのこと息子って呼んでるんですかね。女の子なのに。

男を自称してるから合わせてやって息子って呼んであげてるとかだったらちょっとカイドウの印象変わるな。

オロチはまだ死んでなさそうだがどうなるか

 

Dr.Stone

千空の科学テクニックひさびさに出ましたね。ダイラタンシー流体聞いたことあるからこういうの知ってるのが出ると嬉しい。

 

◯呪術廻戦

宿儺がすっごい楽しそう。ここまで大暴れしてかつ邪悪さをむき出しにしちゃってると、今後虎杖くんが自我を取り戻したとしても生かしておくリスクがヤバすぎるから殺されそう。五条先生が庇ってくれたおかけで生存を許されてた&五条先生が唯一の対抗できる人材だったけど、五条先生が封印されちゃったままだと容赦なく殺されてしまいそうだぞ虎杖!

宿儺は指ごとに属性(術式)ありそうな感じする。

 

チェンソーマン

アキの無邪気な雪合戦によって被害がエグいほど広がってる・・・。こういう本人は無邪気な夢の中にいて、現実では残虐行為が繰り広げられる展開、見たことある気がしてならねえ~。

彼をこの夢の中から早く救い出してくれ

 

◯アンデッドアンラック

タチアナは名前からしアンタッチャブル感があるがどんな能力になるかまったくわからない。

 

ハイキュー!!

完結!!!!!堂々完結!!!!!

スポーツ漫画というか、バレーボールというスポーツに関わった人たちを描いた漫画でしたね。高校を卒業してバレーを続ける人もいれば続けない人もいて、それぞれに人生がある感じ・この漫画特有だな~

バレーボールの面白さを証明してくれた漫画。

 

ぼくたちは勉強ができない

告白するシーンでいそいそと電飾の準備してる成幸してるの想像するとちょっと面白い。理系のリズちゃんはだいぶ扱い雑でこんなんやらない方が良かったくらいに酷かったけど、文系の古橋はそれに比べたらまだましで良かった。

 

◯アクタージュ

夜凪が初期の未熟な状態から既に成長しきってしまっていたがために物語の都合上投入された皐月ちゃんですが、非常にいい味出してますね。

皐月ちゃんの成長を導きつつ、それごと食らって自分の糧にする夜凪の構図。

おっかねえ~最後のページで皐月ちゃんに"それ"とルビふってあるのほんとおっかねえ~

 

◯タイムパラドクスゴーストライター

小学生のアイノイツキさんに創刊から現在に至るまでの全てのジャンプを押し付けるジジイまじで最悪すぎて笑っちゃった。大量のジャンプ公園に放置して満足して消えるジジイ完全に狂人だろ!!!

そりゃあ出会った時の記憶はあんまりなくとも別れの日は覚えてるだろうよ・・・こんなんトラウマになるだろ・・・しかも全部持って帰ってるしなイツキさん

作中の漫画から個性を消せば全人類が楽しめる漫画になる理論もな~~どうかな~~~

個性のない漫画ってつまんねえ印象しかねえや

アイノイツキさんの死因が根詰めすぎによる過労死だとしたら、佐々木が漫画勝負で勝っても結局漫画の描きすぎて死ぬじゃんこれ。どうなってんだよ未来人。

アイノイツキさんを死から救う方法、パクって漫画で勝負するんじゃなくて編集がもっとブレーキかける以外なくない?というか死ぬまで放置するなよ~

突っ込みどころがありすぎるから話題にはなるが連載が続いてほしいとは決して思わない漫画です。

 

 

以上

今週のジャンプ(2020/07/13)感想

ハイキュー!!が激アツすぎてヤケドする。した。

ジャンプのスポーツ漫画としては無類の完成度の高さ。次号で完結らしい。

ストーリーは王道ストレートでかつ、登場するキャラクター達がどこか身近な印象を受ける漫画。ジャンプにありがちな現実離れした能力バトルが無いというのもある。

あと、コマ割りや擬音を使った表現がとにかく特徴的。コートの中を縦横無尽に動く選手たちを、見開きを多用してページ全体を使って視線誘導するテクニックが光るすげー漫画。

ワンピースとヒロアカが休載(あとハンターハンター)してるが、ハイキュー!!いっぽんで持ってけるパワーがある。

今週はハイキュー!!チェンソーマン、呪術廻戦が良かった。

 

以下作品別ネタバレ感想

 

 

ハイキュー!!

第一話の日向vs影山で日向が見せた、着地後の不安定な姿勢からの横幅いっぱい使った再ジャンプがここにきてもう一度炸裂。

昔と違い成長しきった日向だからこそ思わず動きを目で追ってしまった影山は瞬間にそれが"囮"であることに気づいて「――くそ」と呟く。

日向は最強の囮になった、ということなんでしょうね・・・。↑のシーンただでさえ最高なんですが、つけくわえると影山のセリフがネットの向こう側にあるんですよね。日向に「追い越された」者の呟き、みたいに見える描写。ハイキューはこういう描写が本当に上手い。

単行本買おうかな。完成度が高すぎる漫画大好きなんだよな。

 

◯呪術廻戦

柄が手の呪詛師、ナナミンに殺されたかと思ってたけど再登場。こいつは何回か死んだような描写されてるけどそのたびに目の下にある入れ墨が1個減ってるから残機みたいなのがある術式なのかね。だとしてももう残機なさそうだけど・・・宿儺のお気に入りの伏黒を闇討ちしてるし死亡フラグがビンビンだ

頭火山(じょうご)がまた宿儺にボコられてますね。頑張れ!

 

チェンソーマン

1ページ目のアオリ「執拗が鳴り響き 不気味が滲み渡る…」ってやつ、この雰囲気をよく表してるな~と。

チャイムのピンポンという擬音がそこら中に書き尽くされた紙面を見てると、音がないはずなのに本当にうるさく感じられてしまいますねえ。

マキマさんからの電話は、嘘は言ってないが重要なことを意図的に隠した内容。

こ、こいつゥー!!!とならざるを得ないよね・・・マキマさんこういうところあるけどデンジはあんまりわかってないからな。読者は天使くんの村の話と合わせて急転直下でマキマへの見方が変わってきてるけども

パワーが「なあ!アキじゃろ!?」と声をかけた途端に静まり返るところもこの不気味な雰囲気を醸し出してる。漫画なのに映画みたいな感覚になる。

ドアを開けた先にいるアキ、未来の悪魔の予言はこういうことか・・・・こんなのってないよ・・・・・

アキの意識はほんのすこーしだけ残ってるみたいですね。少年になった彼はデンジと雪合戦の夢を見る。なんてむごい

パワーの「玄関からしたのはアキの匂いじゃ」のセリフに対してデンジがウソつくなよ、というのも、いつもウソばっかり言ってる虚言癖のパワーがこんな時にウソをつくはずがないってきっとデンジはわかってるんでしょうね。それでもウソつくなよ、というしかないのが・・・なんてむごい

 

◯灼熱のニライカナイ

3話にしてもうよくわからなくなってきちゃった。

前後編にわけるほどの話じゃないでしょこれという気持ちが湧き上がってくる今週の話。

爆弾タコ人間ってのもよくわからんし・・・3話でこれじゃ先行きが思いやられちゃうな。

この調子だと腹ペコのマリーと同じ結果になる未来が見えるぞ

 

◯森林王者モリキング

モリキングと王器の対決のやつ、ぼくの青春の神漫画BLEACHの尸魂界編の名言の一つ、一護と恋次の「ただ俺の・・・魂にだ!!!」のパロディですね。このシーン大好き、いや尸魂界が大好き。

モリキングはロボコより好きだから残るならこっちにしてほしい。というか今のジャンプはギャグ漫画が多すぎる。

 

◯アンデッドアンラック

UNMOVE(不動)、能力めちゃつよいし覚醒シーンではあるんですけど・・・髪型がダセェ!

 

◯アクタージュ

さつきちゃん、女優になりたいという願いは間違いなく自分のものになってるんだけど、その発端となった始まりは他人から持たされたもので、借り物のような・偽物のような気持ちなんでしょうね・・・。

いいですよねこういうテーマ・・・Fate/stay nightみがありますねえ・・・

女優という存在がキレイだから憧れたさつきちゃんも、

誰かを助けたいという願いがキレイだから憧れた衛宮士郎も、

一緒だよな・・・・・・・・・

士郎の正義の味方になりたいという願いは借り物だったかもしれないけど、誰もが幸せであってほしいという願いは美しく、間違いなんかじゃないんだ。

本物じゃなくても、借り物でも、美しいと抱いた願いが間違いじゃないと思えるなら、それはきっと正解。

さつきちゃんもつまりはそういうこと。

 

◯タイムパラドクスゴーストライター

オリジナルで話を書かないといけなくなった46話をいったいどうするんだ・・・!?と思ったら一気に時間軸が飛んでしまった。なんなんだこのヒキは・・・?

ジャンプを送ってくる未来人の世界線ではアイノさんが亡くなってる以上、ホワイトナイト以外の作品を未来から送ってもらえないのが残念ですね。

もしできたらアイノさんの連載する予定の作品をかたっぱしからパクって連載すればアイノさんが連載開始できなくなって死を回避できるのにね。まあそれやったらアイノさんが頭おかしくなって発狂しそうだけど・・・

漫画で勝つことが死を回避することの理由を早いところ説明してほしい所存。

 

 

以上!