映画感想「スノーピアサー」★★★☆☆
タイトル:「スノーピアサー」
公開日:2013
監督:ポン・ジュノ
主演:クリス・エヴァンス(カーティス)
主な出演者:ソン・ガンホ(ナムグン・ミンス)、コ・アソン(ヨナ)、ジェイミー・ベル(エドガー)
120分
@鑑賞日:2020.08.10
@評価:★★★☆☆
深刻化した地球温暖化を食い止めるべく開発された化学薬品CWー7は、7年もの年月をかけて議論が進められた結果、世界中に散布された。予想よりはるかに大きい効果をもたらしたCW-7は地上を氷河期へと巻き戻し、人は住む場所を自らの手で失った。
CW-7の危険性をいちはやく予見していた技術者ウィルフォードは、自分の夢であった世界中を巡る永久機関のエンジンを備えた巨大列車を完成させていた。
地上が凍結されてから17年の時がたっても、乗り込んだわずかな人類だけは列車の中で生き長らえていた。
しかし列車の中は明確な階級制であり、最後尾の車両は狭い車両の中に押し込められ、自分の部屋すらなく、毎日わずかなブロックゼリーを配給されるのみ。一方、先頭車両に近づくほどそこで暮らす人々は優雅な生活を享受していた。
最後尾の車両で生活する主人公カーティスは、貧困層の仲間を率いて革命を企てる。配給に来た兵士を倒し、隣の監獄車両からセキュリティのスペシャリスト・ナムグンとその娘ヨナを脱獄させ、車両間の施錠扉を開けて前へ前へと突き進んでいく。
人類が自らの手で地上を凍らせてしまったこと、残された人類はウィルフォードの巨大列車という閉じた世界、いわば箱舟に乗り込んだ者のみ、列車は階級制で奴隷同然の扱いを受けていた貧困層の住人が革命に立ち上がる・・・というストーリーだけで「面白そう!」と直感して見てみました。
社会の縮図となった列車の中を突破していくわけですが、現代への風刺・皮肉が効きまくった作風で、子供がプロパガンダで洗脳されまくってたり、金持ちは貧困層の生活を何も知らず一生パーティ開いてたり、人類全体に必要なことだとかなんとかで正当化して平然と非道を働いたりするんですが・・・
一方でコメディというか妙に笑えるシーンや「その設定は無茶だろ」みたいなものもあったりします。車両まるまる水族館にしてあったり、そこには何故か黒人の寿司職人がいたり、車両の扉あけたら死刑執行人みたいな帽子被ったムキムキのオッサンが斧持って大量に待ち構えてたりしててちょいちょい笑える。
暗喩的なものがとにかく多い映画です。あと、宗教的な匂いもまあまあします。
列車はノアの箱舟で、列車を作り上げたウィルフォードはキリストのような存在(預言者、神の代弁者)、永久機関のエンジンは神そのもの。
貧しい者はずっと貧しく、豊かな者は富を独占してるのは資本主義経済を表していると思います。
色んな要素を含んでるので人によっては「説教臭い映画だな」と思うかもしれませんが軽い気持ちで見るくらいがちょうどいいんじゃないでしょうか。
深く考えてしまうと、「貧困層生まれた子供の一部を徴収してるけど最後尾車両にプライベート空間ないじゃん、どこで致してどうやって産んでんの?」とか「住民(乗客)に対して兵士の数多すぎじゃね?」とか「雪の崩落や線路の脱線の可能性考えたら17年も稼働できなくない?」とか「なんで唐突な寿司屋?」等々、疑問は尽きないので、適当な塩梅で流すといい感じでした。
個人的にはメガネかけたおばさん総理のキャラが小憎らしくてちょっと好き。
ネットフリックスにドラマ版もあるらしい。