チェスの駒の1つ”ビショップ”は元々は象を表す駒だった
チェスの由来は古代インドのボードゲーム、チャトランガと言われています。将棋も同じくチャトランガが由来だそうです。語感が好きなので覚えやすいですよねチャトランガ。
このチェスの駒のうち、”ビショップ”なるものがあります。意味は司教とかそういう意味ですが、この駒はもとを辿っていくと象を表す駒だったそうです。エレファントな象です。まったく違っててちょっと面白いですよね。
チャトランガ(左)とビショップの駒(右)
にわか歴史好きの知識ですがざっくり解説していきます。
チェスはインド由来なのでヨーロッパに入る際にはアラビア圏を経由して入ってきます。現代の地図でいうイラク・サウジアラビア・シリアあたりですかね。インドからヨーロッパのルートとしてここを通るのは自然でしょう。歴史ではよくあります。
アラビア圏(アラブ世界とも)を通ってヨーロッパに来るまで、この駒は象を指す言葉で呼ばれていたのですが、それは「象」を何語かで呼ぶかによっててんでバラバラだったようです。
つまり、英語ならelephant(エレファント)なのがロシア語だとслон(スローンと発音するらしい)のように、同じ意味の単語であっても言語によって言葉は変わってきますよね。
そのため、象はサンスクリット語(インドの古い言葉)なのか、ペルシャ語(ペルシャはイランあたりにあった古い国)なのか、アラビア語なのかによってピールだとかフィールだとかアルフィル だとかいろんな呼び方がありました。
その状態でヨーロッパに入ったため、ヨーロッパの人々にとってはその響きが一体なにを指しているのかまったくわからなかったようです。このよくわからない単語の駒はなんなのかを探る活動が始まりました。
イタリアやフランスでは、近い響きの言葉と結びつけて意味をもたせようとしたようです。
イタリア人「アルフィルって言葉の響き・・・旗持ちを意味するAlfiere(アルフィエレ)に似てる!この駒は旗持ち!」みたいな感じらしい。
これに対し、イギリス人は名前の響きではなく駒の形、形状に着目しました。
当時の象の駒の形状は、幹の上に2本の突起が象牙のように突き立っているような形だったそうです。ただ、この意味を理解できなかったイギリス人は、「これ・・・司教の帽子に似てね?」という解釈をしました。
司教冠(司教の帽子)イメージ。横から見たらなにかが2本たってるようには見えるかもしれない。
そのためイギリスのチェスではこの駒はめでたく司教を表すビショップとなりました。よかったね。
なんかこの時のイギリスはチェスを戦争を模したゲームじゃなくて裁判を模したゲームだとする考えがあったらしい。なんで?
ざっくり解説だとそんな感じです。跡形もなくなった象さんかわいそう・・・。
チェスの駒は起源を調べるといろいろ出てきて面白いのでまたまとめます。
参考:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AC
Wikipedia ビショップ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%83%E3%83%97
Wikipedia ミトラ(司教冠)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%88%E3%83%A9_(%E5%8F%B8%E6%95%99%E5%86%A0)
Wikiwand 駒(チェス)
https://www.wikiwand.com/ja/%E9%A7%92_(%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%B9)
TheChessVariantsPages
https://www.chessvariants.com/piececlopedia.dir/bishop.html
グレゴリウス山田(2017)『十三世紀のハローワーク』一迅社